特集:インタビュー 古市壮吾(日本大使館領事担当)

大使館と在留邦人とのコミュニケーションのあり方について

インタビュアー フィッシャー緑(日本人会理事)

日本人会理事、フィッシャー緑氏が、在デンマ−ク日本国大使館に昨年赴任してこられた古市氏にインタビュー。和やかに、会話をはずませていただいた。


前任国はガボン共和国

緑:
今日はお忙しい中、インタビューに応じて下さって大変ありがとうございます。早速ですが、デンマークに赴任されて半年くらいたったというところでしょうか?

古市:
そうですね。5月4日にこちらへ来たので、6ヶ月と半分が過ぎたというところです。

緑:
こちらへ来られるまで、どちらにいらっしゃったのですか。

古市:
アフリカのガボン共和国という国の日本大使館で、領事と警備を担当していました。
ガボンはアフリカの中央あたり、西側海岸の方にある国です。あまり聞いたことない国でしょうけれど、フランスとのつながりが強い国で、アフリカのらい病患者のために貢献したシュバイツァーが活躍した国です。現在でも、シュバイツァー病院があり、面影が残っています。

緑:
そういうところから、デンマークということで、環境ががらっと変わったのではないでしょうか?

古市:
そうですね。気候という意味でも変わりましたし、仕事面での内容もずいぶん変わったといえますね。

緑:
ガボンでも領事のお仕事をされていたのですか?

古市:
はい。ガボンでは領事および警備の仕事をしていました。警備の仕事というのは、大使館や大使公邸での警備、その他、大きなレセプションがある時など現地の警察当局と連絡をとりながら警備の手配をします。

緑:
そのお仕事はこちらでもしていらっしゃるのですか?

古市:
はい。こちらでの仕事も、領事と警備を担当しています。


短い任期制

緑:
こちらデンマークでは任期というのはどれくらいなのですか。

古市:
緑さんもご存知のように、以前は3年だったのですが、前任から2年になりました。今後どうなるのかはわからないですが、私の場合も2年ということでこちらへ赴任しました。再来年の春頃までということですね。

緑:
ご家族とごいっしょにこられているのですよね。

古市:
私は家内と2人なので、家内がこちらへきています。

緑:
デンマークでの暮らしはいかがですか?

古市:
住むところそれぞれにいいところがあると思います。ガボンもガボンなりにいいと思いましたし、デンマークもいいところだと思っています。大変居心地がいい国だと思っています。大変楽しませていただいています。これからデンマークでの初めての冬、を体験しないといけませんがね、、。(笑)

緑:
2年の任期はその国に慣れて、その国の邦人との交流、という点においては、短いようにも思いますが、、。

古市:
公務員に任期があるのは仕方のないことです。私の任期が終われば次の新しい領事が赴任してきます。そのような連続の中で、私は自分の役割をしっかりと果たせればよいと思っています。また、2年は短いかも知れませんが、効率的で質のあるコミュニケーション作りに努力したいと思います。

緑:
はっきりした自覚のもとに努力されておいでになるご様子、頼もしく拝見しております。


在外選挙について

緑:
最後に在外選挙権のことをお伺いしたいのですが、通知を頂いてから登録が限られているとうかがいましたが、、、。

古市:
本年(1999)5月1日より登録が始まったわけですが、11月時点での統計によりますと、全世界の在留邦人で有資格者59万人のうち登録を終えた方が、その4.4%にあたる26,250人、デンマークでは720人中45人、6.3%となっています。

緑:
まだそんなに少ないのですか。

古市:
はい。大使館としては在留邦人の皆様に、これまで手紙や日本人会会報でお知らせしたり、オーフス、オーデンセで説明会を行なったりしてきましたが、登録がまだまだ少ないようです。在外選挙は、「海外にいる日本人にも選挙権を」という海外の邦人からの声に応えて実施することになったものです。是非登録手続きを進めていただきたいと思っています。

緑:
そうですね。私も今日できればよかったんですが、パスポートを忘れました。何か特に注意しておくことはありますか?

古市:
はい。ひとつ注意していただきたいのですが、登録手続き後、在外選挙人証が選挙管理委員会から送付されるまで約2ヶ月かかります。まだまだ時間があると思っていても、来年(2000)5月1日以降の選挙に間に合わなくなる恐れもありますので早めに手続きしてください。

緑:
頭に入れておきます。他には?

古市:
長期滞在者の方で来年(2000)3月に任期を終え帰国することになったとしても、転入後3ヶ月経過しないと選挙人名簿に登録されないので、6月までに選挙が行なわれた場合は投票を行なうことができません。しかし、在外選挙人名簿の登録を行なっていれば、来年5月以降に選挙が実施される場合は、交付された在外選挙人証で不在者投票が可能になります。

緑:
よく分かりました。最後に選挙情報について、教えていただくことはできるのでしょうか?

古市:
いいえ、それは基本的に自分で入手していただかなければなりませんが、必要でしたら、広報文化センターにあります新聞、雑誌等から情報を入手していただくことも可能です。

緑:
そうですか。登録手続きには気軽に足を運んでいただきたいですよね。

古市:
そうしていただけるとありがたいです。

緑:
おもしろいお話をたくさん聞かせていただいてどうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくおねがいいたします。

古市:
こちらこそ。日本人会にお世話になることは多くなるだろうと思いますし、これだけの人数の日本人の方々がいらっしゃるということは、それだけ、それぞれの分野に知識を持っていらっしゃる方が沢山いらっしゃるということですので、大使館ではわからないことなど、教えていただかなければならないことも沢山あると思います。
大使館と邦人の方々がよりよいコミュニケーションを築いていけるよう、ご意見などもございましたら、いつでもお気軽に声をかけていただきたいと思っております。今日はありがとうございました。


取材日:1999年11月26日


古市壮吾 (Sogo Furuichi):1960年生まれ、香川県出身。1999年より在デンマ−ク日本国大使館勤務。領事担当


フィッシャー 緑 (Midori Fischer):日本人会理事、デンマ−ク在住35年、鎌倉出身。ミキトラベルコペンハーゲン支社