日系法人紹介シリーズ Vol. 4

A.K.I Food Aps

今回は、日本人会がいつもお世話になっているA.K.I Foodの柴田さんからお話をうかがいました。柴田さんは、1996年から1997年にかけて日本人会の会長を務められました。また、日本人会の行事があると、飲み物の差しいれなどいただいています。今年のお花見会にも、懐かしい日本のビールをたくさん差し入れてくださいました。


A.K.I Foodの業務内容をお教え下さい。

柴田:
A.K.I Foodは、1983年に創業されました。主たる業務は、日本食品のレストランへの納入です。従業員は私ひとりです。(でも、今日も他におふたり働いていらっしゃいますが…)お手伝いやサポートに、お願いして他の方たちには来てもらっています。
この頃は日本食レストランが増えてきましたが、売れ筋 は何といっても、米、寿司の材料であるのりなどです。日本食料品は、コンテナーで運んでくるため、スウェーデンの業者が一括輸入しています。商品はそこから仕入れています。


小売もされているので、デンマークに住んでいる邦人は日本食が手軽に手に入るということで、皆感謝しています。小売のほうは、一つ一つは小口なので、手間暇がかかって大変とお察しします。

柴田:
毎土曜日11時から15時まで店を開いています。地方に住んでいる方たちには、ファクスや電話による、メールオーダーも受けています。メールオーダーは結構来ますね。

デンマークに来られたきっかけは?

柴田:
デンマーク家具のデザインに興味があり、70年代にこちらに勉強に来ました。Kunstakademietで3年ほど勉強したり、設計事務所で働いたりしていました。その当時、同じ様な目的で勉強に来ていた日本人が2〜3人ほどいたでしょうか。7年ほど、コリーギアムと呼ばれる学生寮で、デンマーク人の学生に混じって、ただ1人の日本人として生活しましたが、楽しかったですねえ。リュンビュ(Lyngby)にあった学生寮だったので、デンマーク工科大の学生が多かったのですが、皆本当に良く勉強していました。
その学生寮に料理クラブ(madklub)と言うのがありまして、当番制で皆の料理を作るのです。もともと料理には興味があったのですが、デンマーク人の女子学生に、パンの焼き方、デンマーク料理の作り方を教わったり、たまには日本料理を作ってみたりしました。その頃一緒に学生寮にいたデンマーク人は、まだ僕のこと良く覚えてくれているみたいです。

そこから今のビジネスに入られたきっかけは何だったのでしょう。

柴田:
学生寮で料理をしながら、デンマークにはない食材は何だろうと考えたのがきっかけでした。いきついた結論が、「もやし」だったのです。あの頃は、本当に野菜が少なかった。さっそく日本から機材を輸入し、もやしの生産を始めたのが1978年です。デンマークにはもともとなかった食材でしたが、サラダの材料として、つまり生食用野菜として最初から良く受け入れられました。今でもデンマーク人は、サラダの材料としてもやしを使っているので、デンマークに来て間もない日本人の中にはびっくりする人が多いようです。
もやしがポピュラーになるに従って価格もだんだん低くなったため、1994年にもやしの生産を止めました。ところが、もやしをレストランに卸しているうちに、ついでに他の日本食も扱わないかという話が出てきまして、平行して日本食を扱うようになっていったのです。これが、今の仕事に繋がっています。

デンマークに住まわれたご感想をお聞かせください。

柴田:
デンマークが大好きです。何というか、こっちにいた方が簡単と言うか、とても暮らしやすいと感じています。実は僕、日常会話は全部英語で通しているのですが、不自由を感じたことはありません。

(編集)
A.K.I Foodさんのおかげで、デンマークに住みながらおいしいお米も食べられます。デンマーク唯一の日本食品専門店として、ますますご発展されることをお祈りしています。興味深いお話をありがとうございました。

取材日:5月19日